「ユイの事、好きだったよ。
ガキのころから、ずっと……さ」
「………ん」
静かな図書室で。
大樹は消えちゃなほど小さな声でそう言って。
そして。
その瞳は、もう真っ暗な校庭を眺めていた。
ありがとう。
大樹……。
好きになってくれて
妹みたいに、あたしを心配してくれてて。
その中に
ちゃんと違う感情があったの
本当はわかってた。
ごめんね?
不器用で。
こんなカタチしか、大樹を応援できなくて。
だけど
本当にありがとう
そっと大樹から視線を落とすと。
桜色の消しゴムを見つめた。
あたしは、この受験だけ見よう。
それでいい。



