真っ暗な空の下。
雪だけが、なぜか淡く光を放っているみたい。

息を吸い込むたび、冷たい空気が肺を満たしていくのがわかった。


そんな事を思いながら、あたしはぼんやりと口を開いた。




「ねえ。おじさん……。 おばあちゃんには特別な力があったの?」




自分で言った言葉なのに、やけにクリアに聞こえて。
胸の奥がドクンってなった。



「おばあちゃんか……」



おじさんは、あたしと同じように空を眺めてまま。
これまた同じように、ぼんやりと呟いた。



「そうだな。 あれは、特別な力…だったんだろうな」

「アレ?」

「ん。 他の人には見えないものが見えてた」



……やっぱり。


あたしと、同じ?

最近はなくなったけど……あたしにはヒロが見えたたもんな。



「おじさんも子供のころは感じていたけど。 大人になってからはそれもなくなったよ」


「感じる? おじさんも?」


「うん。 おばあちゃんのように見えて会話出来ちゃうことはなかったけどね。 それでも、『あーいるな』って事はよくあったんだ」


「そうなんだ……やっぱりおばあちゃんの子供だから?」



血を引くってこの事かな。
首を傾げたあたしを見て、おじさんは首をふった。



「いや。 ユイちゃんのお父さんはなにもわからない人だから。 子供だから出るってわけじゃないよ。 それに、おばあちゃんがいちばん心配していたのは、ユイちゃん、キミの事だよ」


「……あたし?」




おばあちゃんが……。


その瞬間、小さな頃によく聞いたおまじないを思い出した。