クリスマスって特別な日に……
ひとりで……?
「……ちぃちゃん……あの……ヒ、真尋さんは?」
「真尋? 真尋は、今日はバスケのクリスマスパーティに参加してるみたい。裕貴もまだそっちにいて、これから抜け出してきてくれるのよ。 あ、そうだ。 大樹くんもいたみたいね?」
「え、大樹が?」
「うん。大樹くんてたしかサッカー部でしょ?
大樹くんのお友達でバスケやってる子がいて、その子が裕貴に会いたいって、お願いしたらしくって。 わたしも詳しくはわからないんだけど。 だったらみんなでやろうって、合同でしてるって、そう言ってたから」
「そう、なんだ……」
だから、昼間あのカラオケ店に、ヒロがいたんだ……。
きっと大樹はすぐに抜けてきたから、ヒロの存在に気づかなかったんだろうな。
そっか……。
ひとりじゃないんだ……。
よかった。
――♪――♪――♪――
その時、キラキラした着メロが鳴り響いた。
ちぃちゃんは「あ」と言いながら鞄の中からピンク色の携帯を取り出すと、その相手を確認しているようだった。
聞かなくても、その着信の相手が誰だかわかった。
「それじゃあ、ユイちゃん。 素敵なクリスマスをね!」
ちぃちゃんはそう言って、くるりとあたしに背を向けて走り出した。
「……あ……ちぃちゃん!」
あたしは思わずその背中に向かって声をかけていた。