今すぐぎゅっと、だきしめて。


その相手は一体誰?



ヒロ……?



別れたって言ってたけど。
本当はどうなのかな?



あたしには、信じられない。




ちぃちゃんが、あたしの気持ちに気づいてしまって。


それで、それで……
ヒロと別れてしまっていたら?






「……」


「……ユイちゃん」



俯いていたあたしの視界に、光沢のある黒のパンプスが目に入った。



ハッとして顔を上げると。
すぐそこにちぃちゃんがいて、真っ白なマフラーを肩に回しながらふわりと微笑んだ。




ドキン




まつ毛……長いな。

黒目がちの瞳は潤んでいて、すっごくキレイ。


ほんのりピンク色の頬が艶やかに輝く。


熟れた果実みたいな唇は。
誰かのキスを待ってるみたいに色づいていた。




……ドクン



こんなキレイなちぃちゃん、反則だよ。




敵うわけない

あたしなんか、いつまでたっても敵いそうもない。


男の人なら、きっとこの瞳に見つめられただけで
ちぃちゃん独特の甘い雰囲気にのまれてしまうだろう。




自分が子供だって突きつけられたみたいで。




やだな……

泣いちゃいそう。