まだ全然ダメだ……あたし。




だって……
ヒロの事思い出すだけで、こんなにも泣き出そうだ。



「そういえばさ、和田君はどこの高校行くの? もう決まってる?」



今が夕方で、ここにいるのが和田君でよかった。
彼はきっとあたしのこの気持ちに気づいてる。




パッと顔を上げて、話題を変えたあたしに和田君は「俺?」と首を傾げた。



「俺は、東京に行くんだ」

「……東京……夢とかあるの?」



「夢……てゆーか」そう言いながらポケットに手を入れると、和田君は背中をフェンスに預けて空を仰いだ。



「こんな体質だろ? それを生かすために行く」



ニヤリと笑った和田君。



「え、憑依体質を?」

「ま、そうとも言う」

「?」



さらに口の端を持ち上げた和田君を見て、あたしもつられて笑った。