そういえば。
「見ないかも……」
ヒロは目を覚ました。
だから見えるわけがないんのだけど……。
考えてみれば、ヒロが目覚めてから、そんな体験はないんだ。
「俺も、安達になにも感じなくなった。 夏休みが終わって、それからずっと安達を観察してたけど、霊的なもの、なんにもなくなったね」
「……そうなの?」
よく、わかんない……。
だって、今まであたし自身が感じたことなんてヒロが現れてから、いなくなるまでの短い期間だったもの。
夏休みの間。
色々あって……
それで……
「…………」
校庭から、生徒達の声が聞こえる。
それからあたしの耳に届くのは
風の音と、ヒロの……
「わざわざ呼び出してごめん。 そのこと確かめたくて」
「……あ、うん」
驚いたな……。