「ユイちゃんは、真尋に会った事あるんだよね?」

「え……や、会ったことは……」


慌てて涙を拭うと、あたしは大袈裟に両手をふった。


「そっか。 ユイちゃんには真尋本人に会ってもらいたいな、すっごくいいやつよ?」

「うん……」


いいやつ……。

うん、本当にいいやつだよ。 だけど、あたしにとってはちょっとだけイジワル……かな。


ちぃちゃんもヒロの死を受け入れてない?

だって、さっきから話してることってヒロがまだ生きてるって事を前提に話してるみたい。




……え?


…………生きてる?


そうだ。
今まで考えたこともなかった。

ヒロは……生きてる?




「ち、ちぃちゃ……その、ちぃちゃんの彼氏って……今……」


落ち着け。

落ち着け、あたし!


心臓がすごい速さで加速を始めた。


ドクンって勢いよく全身に血を巡らせてて、目眩でも起きちゃいそう。


でも、聞かなきゃ……!


もしかして……もしかして、ヒロは……。



ちぃちゃんは、「今?」ときょとんと首を傾げた。


そしてこう言ったんだ。






「真尋なら、今はまだ中央病院に入院中で、意識を……戻さないの」