クネクネと曲がっている山道を、ただ黙々と歩く。

懐中電灯の頼りない光で、揺れる木々が余計怖い。


なぜか、先を歩くあたしは後ろからついて来る足跡に苛立ちながら右手に懐中電灯、左手に小さなお札を握り締めて歩いていた。



――ガサッ



「……ッ!」


ちょっとした物音にも、過敏に反応する自分が悲しくてあたしはもう涙目。

唇を噛み締めてないと、今にも耐え切れなくて涙が零れてしまいそうだった。


うぅ……帰りたいよぉ



せめて、ヒロがいてくれたら……

ヒロ?

どこ行っちゃったのよ



一体どこまで行くんだろうか。
この道はほんとにあってるのかな?


なんだか、さっきから違う存在を感じるのはあたしだけなのかな……



「……」



ダメダメッ

今そんな事考えたら、進めなくなっちゃう!


戻るもの怖いし、もうここまで来たら早く終わらせたい。



祠……海岸沿いの洞窟にあるって、奈々子は言ってたよね?




『……その洞窟にはね? 出るらしいんだ……』




…………。



ひええええッ!!!

どうしても、考えはあらぬ方向へ!!!!



「……安達、待って」

「…ひゃ」


駆け出したい衝動と戦ってるあたしに、突然消え入りそうな声が聞こえた。

突然の事に、思わず体がビクリと跳ねた。
そして、今まで黙って歩いていた和田君の背中があたしの視界を遮った。



……な、なに?