途中で止めたら断られそうで、私は、一息に用件を伝えた。

頭を下げて返答を待つが、音沙汰が無い。

恐る恐る顔を上げると、腕組みをした彼が私を見下ろしていた。


「貸し一つだ。その条件と引き換えに、俺が、困った時は、今度は令子が助けてくれ………どうだ?」


何かを企んでいる様な妖しい笑みで、私を見つめている。

これが罠だとしても私は後には引けない。


「契約ね?いいわ!!何でもする!!」


私達は固い握手を交わした。


「交渉成立ね!」


「ああ……じゃあ早速、今夜から徹夜で仕込むから、覚悟してろよ?」


「OK!宜しくお願いします!!」


とんとん拍子に事が運ぶ事に、私は、俄然やる気が漲っていた。


(これで、みどり電機の契約は貰った様なもんだわ!!確実に昇進出来る!!)


「おい!徹夜で仕込むなんて、なんて話会社でしてるんだ?!」


誰も居ないと思っていた、背後からいきなり声が響いた。


『あっ赤坂部長っ!!!!』


「二人して声を揃えて、随分と上手くいっているみたいだな?」


「えっ?」


「最初は、どうなることかと思ったよ。秋山くんには最初断られるし、仕方無く彼奴にしたのが大きな間違いだった……あの時は本当にすまなかったな?」


「いえ。………未遂に終わりましたし……秋山さんに助けて頂いたので。」


「そうだな。秋山くんが貰ってくれて一安心だよ………でも、結婚前に子作りは、早過ぎないか?」


「はぁ?こっ子作り?!」


「今、そんな話をしてただろ?」