落ち着いた声とは逆に、彼女の肩が震えているのに気づいた。


「どうしたんですか?体調が悪いの?」


「別に、平気です。私の事より、先生は、その彼女の事を考えてください。………じゃあ、失礼します。」


「っ?!ちょっと待ってください!!………白金くん。」


震える肩にそっと手を置くと、ビクッと震えた。


「…………………。」


「彼女じゃなくて、彼ですよ。」


「えっ?!!………男の人?」


「あなたの勘違いも面白いものですね?私が誰かに恋したと思ったのですか?」


「いっいえ!!」


「君が一番良く分かってるでしょ?私に恋人なんて無理なこと。」


「…………はい。」


私の言葉一つで、彼女の表情が次から次へと変化していく様を見るのが堪らないなんて言ったら、君は私を嫌うでしょうか?


だから、ただ黙って…………。


付かず離れず離さず、…………それが今は丁度いい、君が私の手を放すまで…………。