Pathological love


「えっ?あなた………隣の…………極うま鍋の…?」


「は?あんたさぁ…極うま鍋って…俺の印象…鍋しか覚えてないのかよ?ありえねぇ…クククッ………。」


開いた口が塞がらないとは、よく言ったものだ。

秋山さんとあの隣人の男が、同一人物だなんて………今、目の前にしても、とても信じられない。


「ほっ本当に?!秋山さんが隣の鍋の………… 」


「連理。」


「れんり?」


「秋山 連理。季節の秋に山、連理の枝の連理。」


何の悪びれもせず、笑いながら淡々と話している彼はやっぱり学生の様に見えた。


「あなた…、一体何歳なの?」


「えっ?俺?………何歳に見える?」


「………何その合コンみたいなノリ…やめてよ。」


「はい、はい。分かりました。俺、こう見えて37歳。誰だかさんは、すっかり大学生だと思って、かなりの上から目線でこられたけどね。」


(3…37っ!!タメ?)


あの日の自分を思い出すと耳が痛かった。


「悪かったわよ。謝るから、これ以上ふざけないで。」


頭を抱え溜め息を吐くとカウンターの下で、コンッと爪先を小突かれた。


ビクッと反応した私は、思わず身構える。


「で?どーするわけ…この後?」


「なっ何が?」


「何がって………フフッ…もしかしてエッチな事、考えちゃった?」


過剰に反応した自分が怨めしい。


「べっ別にそんなんじゃないし!!あなたの企みが知りたいだけっ!!」


余りにもヒートアップし過ぎて、気づくと周りの視線が、私達に一点集中していた。