Pathological love


暫く、当たり障りの無い会話を続けて時が過ぎていった。

最後のお茶を戴いている間、私はこの先をどう切り出すか、タイミングを図っていた。

取り敢えずの間は、交際状態を維持しないといけない。

所々垣間見える几帳面な所が、どうも苦手だけれど形振り構ってなどいられない。


「山田さん。今日はありがとうございました!楽しかったです。また今度、お食事でもどうですか?」


彼は一瞬驚いた目をして、湯飲み茶碗を茶托に置いた。


「私の事が、気に入りましたか?」


「えっ?」


「私もあなたの事がとても気に入りました。欲を言うならもう少し年上でもいいくらいです。」


「はっ?何を言っているんですか?」


目の前の男の様子が、何やらおかしい。

息も荒くなって、私を見る目もギラギラしている。


「でも、仕方無いんです………子供は欲しいので、ストライクゾーンの年齢は恐らく無理なんで。あなたは見た目の割に若くて綺麗だから、きっと歳を取ったらもっと素敵になるでしょう?」


今にもテーブルに乗り出しそうな勢いだ。


「あっあの!私………やっぱり………失礼します!!」


身の危険を感じて立ち上がり、急いで後ろの襖へと手を掛けた瞬間、伸びてきた手がガタンと襖を押さえた。

襖は、びくともしない。


「待ってくださいよ………まだ、次の約束してないじゃないですかぁ………。」


背後から感じる生暖かい息づかいが首筋に当たると、ゾクッと身の毛がよだった。