Pathological love


「そうなんだけど………何か今回は違うんだよ。全くモチベーションが上がらないみたいで、ボーッとしてる時間が多いし、まるで魂が抜けたみたいなんだ。何か契約優先で彼奴を生け贄にしたみたいで、何か俺の所為の様な気がして………。」


美島は一つ息を吐くと、隣に座って俺の肩に腕を回した。


「仲井の所為なわけ無いでしょ?いい大人なんだから、人の意見に左右されたりしないよ。秋山なら尚の事でしょ?あいつが人の意見を聞くと思う?私達は自分の仕事を全うすればいいの!」


「………確かにそうだけど………」


「私もデザイナー志望だったから分かるけど、スランプはデザイナーなら当たり前。自分で気づいて乗り越えなきゃいい作品は生まれないよ。私達に出来る事は、ギリギリまで時間を作ってあげる事。」


「うん………そうだな。何かモヤモヤが減ったよ。気持ちが楽になった…ありがとう。」


「フフッ…どういたしまして!」


美島は長い髪を耳に掛けると、眩しい笑顔で笑った。


(やべ~…めっちゃ可愛い~…………、こうやって虜になるんだなぁ。)


「あの~…すいません。」


「えっ?あっ!はいっ!!」


背後から急に声を掛けられて、俺は勢いよく振り向いた途端、凍りついた。


「水川さん………。」


「一度しかお会いしていないのに、私を覚えていてくれたんですね。」


「ええ、職業柄人覚えはいいんです。…とゆうか、当たり前じゃないですか、あなたは…」