「何言ってんの令ちゃん…また子供みたいな事言って。」


「だって、今時シングルマザーなんて珍しくないし、お金だって困らないくらいある…それに友だって、しっかり一人で育ててるじゃない。」


懲りもせずにまた、礼音のほっぺに手を伸ばす。


「私が言ってるのはそうゆう事じゃないの。片親だったとしても、そこに至るまで色んな事があるのよ?私だってそうだし…………。せめて子供には愛し合って産まれた子だって言いたいじゃない。 令ちゃんの欲求だけで欲しがる物じゃありません!」


母親になってからか、友は見違える程にしっかりしてきた。

前は見た目通りふわふわした感じで、私の方が心配する役だったのに、今では完全に立場が逆転している。

友が妊娠したと聞いた時、私はかなりショックで、彼女が産むことに対して猛反対したけれど、今こうして幸せそうな彼女の顔を見ていると、これはこれで良かったのかも知れないと最近やっと思える様になった。


「はぁ………でもさ、このまま一人は寂しいでしょ?」


温くなった残りのビールを飲み干しながら、苦い言葉を吐き出した。


「ねぇ?令ちゃん………まだ、ダメなの?もう、いいんじゃない?」


「まだ、お母さんから手紙が来るから…………。」


曇り顔をした友に、私はいつものように微笑み返した。


「…………そっか、分かった。取り合えず、飲もう!今日は久し振りに泊まって行けるんだから、好きなだけ飲んでね!」


「よ~し!!飲んじゃうよ~。次はワインにしようかな~!」


「好きに飲んでて…礼音、先に寝かせてくるから。」