「何よ。それは、山川くんの得意分野でしょ?」


「もちろん僕もやりますよ?でも、細かい女性の配慮は水川さんに任せます。」


「分かったわよ。抜かりなく進める。」


「それなら安心です!じゃあ、僕はこれで。」


山川くんはそのまま立ち去ろうとして半身を翻した。


「あぁ、そうだ!!僕の伝授したマッサージで、その後盛り上がったか報告してくださいね?じゃ…。」


「ちょっと!!」


セクシーな流し目を残して、山川くんは去っていった。

王子スマイルに隠されている裏の顔は、かなり悪そうだ。


「………でも、マッサージ………いいかも。」


自分の指で今さっきやってもらった頭皮マッサージを真似てみる。


「確か…こうだったよね。」


夢中になってやっていると美保ちゃんが財布を持ってやって来た。


「令子さん、さっき見ましたよ。キングとの浮気現場!さすがに同じ会社内ではヤバいんじゃぁ…………。」


「ちょっと!!何勘違いしてんのよ?一緒に休憩してただけでしょ?」


「令子さん…ごまかしても無駄です。さっき熱烈にキスしてたじゃないですか!」


「だから違うってっ!!!」


この後、美保ちゃんの誤解を解くのに半日もかかって、それどころじゃ無いってゆうのに、骨が折れる。

でも、今回は美保ちゃんだったからよかったものの、全く関わりの無い人に見られていたら誤解を解く事が出来ただろうか。

今まで散々噂に踊らされている身としては、もしもを考えただけでゾッとした。