Pathological love


「何だ、それなら、直接言いに来ればいいだろ?冷たいなぁ。俺に会いたくなかったの?」


「なっ何言ってるの?!」


さっきから、何度も耳に唇が触れる様に囁きかけられて、脚に力が入らない。

胸を締め付ける程に込み上げる気持ちが、浮上してくる。


「一体何の用件だったの?早く教えて?」


痺れるほどの感覚に、うっとり浸っていると、急に身体が離された。


「えっ?」


目が覚めたように、彼を見ると、さっきのような甘い雰囲気は消えていた。


「今、社員さんが居たから、カモフラージュにいいチャンスだと思って。あれ?まさか、ホテルでふざけてキスしたから本気にした?そんなわけ無いか……俺達は、お互いの利益の為に、取引してるだけの関係だしな。」


クラブで見た、あの時の様な冷めた目で、連理は薄く笑って見せる。

ズキンッと胸に、何かが刺さった様な痛みが走った。


痛い………嫌だ………これ以上、聞きたくない…………。


「当たり前でしょ。確認しなくても分かりきってる事 じゃない。今更、勘違いなんかするわけ無い。」


私の口は、何故か心とは反対に、坦々と受け答えをしていた。

不自然なく、冷静に、いつもの調子で。

自分の心を偽るのは昔取った杵柄だろうか、本当に自分が嫌になる。


「今日、飲み会で遅くなる。帰りはタクシーでマンションまで帰るから、ご飯………要らない。」


一瞬、微かに顔色が変わったような気がしたけれど、きっと気のせいだ。

ただ、自分がそう思いたいだけ。


「…………丁度よかった。俺も最近ハマってる子がいるから、当分その子の家に泊まろうと思って。暫くご飯は自分で何とかしてくれる?」