Pathological love


自分でも意味の分からないローテンションに、モヒートを一口煽った。


「連理さん!!さっき見ましたよ?めっちゃいい女だったのに、振ったんすか?」


いつものハイテンションで話し掛けてきたのは、ケンだった。

ケンとゆう呼び名だけで、名字も知らないやつだが、ここのクラブに出入りするようになってから、妙に懐かれている。

大体が、俺のおこぼれ目当てなのは分かっていたが、いいように言うことを聞くので、放し飼い中。

今日も早速、俺を嗅ぎ付けて来たのか、自慢の上腕を見せびらかしながらやって来た。


「何か、いまいち気分が乗らない………。お前、煩いからあっち行けよ。」


片手を挙げて、まるで犬でも追い払うように手をヒラヒラさせる。


「何か最近、連理さんおかしくないっすか?前は、もっとこう………何てゆうか、ギラギラしてて………色んな女を落としまくってたのに、ここんとこは来ても直ぐ帰るし、いつものフェロモン……出てないっすよ?」


こんな単細胞にまで、俺の変化を見抜かれたかと思うと、無性に腹が立ってきた。

俺の中に在る、どす黒いものが頭をもたげる。


「分かったような事言ってんじゃねーよ。何様だお前。」


びびって後ずさったケンが壁にぶつかると、俺は思いっきり壁に靴底を叩きつけた。


「すっすいませんっ!!連理さんっ!!」


「ここで見てろ。直ぐ捕まえて見せてやる。」


以前の自分を取り戻したくて、俺は後先考えずムキになっていた。