ブルーに縁取られた丸いお皿の上には、三段重ねのパンケーキと、たっぷりの生クリーム、色とりどりのフルーツが綺麗に盛られて、テーブルの上を飾っていた。
ケーキに合わせるように、奏也さんが紅茶を隣に添えてくれる。
「もぅ、ビックリしたよ~!!連理が令子ちゃんのフィアンセだなんて!!」
「挨拶が遅くなってすいませんでした。近々伺う予定だったんですけど忙しくて。」
「よく言う………こんな事でもない限り、挨拶なんて来ないくせに。」
奏也さんが、連理の傍に紅茶を置きながら、悪態をついた。
「悪かったよ奏也。お前にも連絡しなくて………拗ねてんのか?」
オーバーな呆れ顔をして、奏也さんがシカトした。
見たところ、かなりの近しい間柄の様だ。
「あっ!ごめんね。令子ちゃん!!私達はアメリカの大学で出会ったのよ。私は、デザイン学科の教授で、二人はそこの生徒だったの。」
「そうだったんですか。」
「私が、日本に事務所を立ち上げることになって、帰国した後は、連理の方がずっと音信不通になっちゃって………。それ以来だから、何年になるかしら?」
京子さんは、わざとらしく目を細めて連理を見た。
「だから、すいませんでした!俺も結構必死だったんで…。」
「分かってるわよ。クリエイターは創作する間は、孤独だもの。独りにならないと生まれないものがあるわ。………でも、あの連理が婚約なんて信じられない………あっ!ごめんね、令子ちゃん。昔の事だから気にしないでね?若気の至りってゆうの?そうゆうやつだと思うから。今がよければいいのよ。」
「はい。全然、気にしませんから、大丈夫です!」
(いまだに、その若気の至りは続いてますよ…京子さん。)
チラッと連理を見るけど、私の視線には気づかないのか、彼は私の方を見ることはなかった。



