「ああ、生クリームは冷やすと固まりやすいんだ。ボウルの下に氷水を張って、その上で、冷しながら混ぜる。直ぐには固まらないから、根気強く混ぜるんだ。令子はクリームやって、俺はパンケーキを作る。」
「はい!」
そこからの連理は速かった。
あっとゆう間に、パンケーキの種を作って、フライパンで焼き始めた。
部屋中に、いい香りが漂う。
その匂いに釣られていると、キッチンの扉が開く音がした。
とっさに連理を引っ張って、キッチンの下に隠す。
「っ?!何っ?!」
体勢を崩した連理は、よろけて私のスカートの下の剥き出しの脚にしがみついた。
「いい匂いですね?」
「どっどっどっどうしたんですか?奏也さん。」
そっとエプロンを被せて、奏也さんから頭を隠す。
「喉が渇いちゃって、お茶でも淹れようかと。」
「奏也さん!!今日まで私の仕事ですから、私が淹れて持っていきます。京子さんと待っててください!!」
「いいんですか?今、手が離せないんじゃ………」
「いえ、大丈夫です!!」
エプロンに隠した頭を、ぎゅっと押さえると、連理が苦しそうに少しもがいた。
きっと、笑顔も引き攣っているだろう。
「じゃあ、すいませんが、お願いします。」
奏也さんの背中を見送り、やっと息を吐いた。
「はぁ~………よかったぁ。」
安心していると、内腿に手が滑り込んだ。
「やっ!!」
とっさにエプロンを捲ると、不満顔の連理が私を見上げていた。



