「柊くん、もう行こか。」

私は頬を落ちた涙の跡をこすらないように手のひらで拭った。

あのさ、と柊くんは言った。

「どしたの?」
「ごめんね、何も、分かってなくて」

彼はごめん、ともう一度繰り返すと、私の顔を見て、行こう、と言った。

「ううん、ありがとう」

私はこれで良かったんだと、2度くらい自分に言い聞かせて、立ち上がって空を見た。


ああ、もう最後なのね。

恨めしいような気持ちがして、私は柊くんの背中に向かって歩きだした。