「ただいま」


だだっ広い玄関をくぐると、
母親がおかえりと返す前に、
「先生が来てるわよ」
とニコニコしながら伝えてくれた。















ガチャっと部屋のドアを開ける。
まず一番に目が付いたのは教師。

教師なのにも関わらず俺のベッドの上で堂々と漫画を読んでいた。
教師は俺に気づくと「まぁ座れよ」と俺の部屋なのにも関わらず仕切られた。






「おい!!変態教師!!何くつろいでんだよ!!」



「あーすまんすまん。てかまだ俺の名前覚えてくれてない?」


「覚えてるわ!あんなことされたら!!」



「あんなこと、って何かな?……もう一回してあげようか?」



「死ね変態」




これだけ叫んでも俺の家も部屋も全て防音なもんで外には聞こえない。
だから母親も今ごろ真面目に勉強してるんだろうと思っているだろう。
無駄な防音機能に感謝した。



激しい口論の末、
教師はようやく漫画を置きベッドから降りた。

「はぁーしゃあねーなー」


「しょうがないってこれはお前の仕事だろ!早く勉強教えろ」




そう言うと教師の目が明らかに変わった。

「教えてもらうのに“教えろ”はダメなんじゃない?」
「あ、そうだ。やっぱり俺らさ、まだ出会ったばっかでお互い何にも知らないじゃん?ちょっと知り合おうよ、




体から」




教師はそう言うと俺の手を掴んだ。

「はっ、離せ!!」


必死に抵抗するが押しとどめられてしまう。
抵抗は無駄な足掻きだった。




「死ね変態教師!!!」

「俺の名前知ってるんでしょ、それで呼んでよ」