ゴオオオオンと何度も頭に響く鐘の音。


こんなゲームがやっと終わるんだ。


私は少なくともその時まではそう思っていた。


相馬が私を見ていたので笑いかけると相馬はガタガタと震えだした。


不審に思った。相馬は一番の被害者だったのに喜ばないのだろうか?


相馬が震えながらに、制服のベルトから取り出したのは銀に光るナイフ。


それをどうするのか、予想はついた。悲惨な結末が私の頭をよぎる。


「咲音っ……逃げて!!」


私も胸が痛くなるような悲痛に満ちた声で相馬は叫んだ。


でも叫びが加藤さんに届くことはなくて。


私の隣にいた加藤さんからドンッという音がする。


その後にふわりと何かが倒れた気がした。


「キャーー!」


日暮が大きな悲鳴をあげる。


私も恐る恐る隣に目をやると……


相馬が親友の加藤さんの胸にナイフを突き刺していたのだ。


「……ひっ」


私は叫び声を出すことも出来なかった。


相馬は加藤さんの息のないことを確認してぺたりとその場に崩れた。


「咲音……ごめんね。ごめんね。私に勇気がなかったから……
庇ってくれて嬉しかったよ……お願いだからもう一度笑ってよっ」


相馬は涙を流しながら加藤さんに向かって呟いた。


殺したのは相馬のはずなのに、矛盾が生じていた。


矛盾点から推測すると知らない間に人を殺したことにも捉えられる。


そこから考えて、相馬も狂ってしまったのではと恐怖していたのだけどそんな様子はない。


よく分からない。


「ね、ねぇどういうことなの?」


怖かったけど相馬に聞くしかなかった。振り絞って出した私の声は震えている気がする。


「静枝ちゃんなら聞いてくれる? 私の“おちえのお人形”になってしまったときの話」


相馬は静かに目を閉じた。