おちえゲーム

「なに…ここ…」


私達は見たこともない洋館のホールにいた。


ほんのり暗くて、うすら寒い。


意味が、分からない。私ではこの状況を理解することが出来なかった。


それでもゆっくりと辺りを見渡すとクラスメイトたちも同じように立っていた。


「どういうことだよ!」


「知らないわよ! 私が聞きたいわ!」


さっきまではホームルームが終わって帰ろうとしたところだった。


するといきなりこの洋館に飛ばされた。瞬間移動とでもいうようなそんな気分。


皆困惑の色が隠せず、雰囲気は悪化している。


こんなことしていてもどうにもならない……。まずは状況を理解しなければ。私が止めに入ろうとしたとき、ピンポンパンポーンとコールが鳴った。


《おちえゲーム開……始のお知らせでーす。ルー……ルは簡単、おちえのお……人形から逃……げて下さい。今回は初め……てですので議論はなしとさ……せていただきま……す。頑張って下さいねー》


意地の悪い声がスピーカーから流れてくる。ぷつぷつと途切れる音が不気味で怖い。


怒号ももはやとばない。状況を察したのであろう。


愛美は私の袖をぎゅっと掴んでいる。その手は震えていて……愛美も怖いんだね。


「んだよ、それ。とりあえず“おちえゲーム”って何なんだ?」


沈黙を破って涼弥は不思議そうに口にする。


すると、辺りの者はホールの端にいた青木を見る。青木が言い始めたのだから当たり前だろう。


視線に気付いた青木は顔面蒼白になり慌てだした。


「違う! 俺がしたんじゃない!!」


「それは知ってるから“おちえゲーム”って何なんだよ」


涼弥は喧嘩腰で言うと青木はひっと短い悲鳴をあげた。


きっと彼は知らないんだ。私はそう確信した。


「私、分かります」


そんな中で田沼という女子生徒が手をあげた。


大人しめで髪の長い外見がホラーでオカルト好きなので、幽霊と呼ばれている田沼。


田沼は器用に人と人との間をすり抜け、皆の中心に入っていく。


「“おちえゲーム”は呪われたゲーム。一人でおちえさまを呼び出すとこのゲームが始まります。
その直前に一緒にいた人もふくめて」


「巻き込まれたってこと!?」


「冗談じゃねぇ!」


「まぁ落ち着けよ。ルールを知るにこしたことはねーだろ」


皆が騒ぎだしたのをやんわりと止める涼弥。


田沼は涼弥を見て互いに頷いてから話を戻す。


「“おちえゲーム”は毎日おちえのお人形が決められて誰か一人が殺されるまで逃げなきゃいけないのよ。このゲームを終わらせるには……“おちえゲーム”は呪われたゲーム」

「“おちえゲーム”は呪われたゲーム」


田沼の様子がおかしい。あまり話したことはなかったのだが私にも分かる。


私以外も数人感じとったのか腰を落として警戒している。