「俺はこっちだけどお前は?」


榊くんは私とは反対方向の道を指さした。


「あっ、私はあっち。」


榊くんと同じように指をさす。


「そうか」


榊くんはそう言って私の目の前までやってきた。


すると、私の頬を包むようにして両手で掴んだ。


ち、近い……!


榊くんの端整なお顔が目の前に……!


「よかったな」


「……へ?」


どうゆうこと?


「あんま目が腫れなくて」


榊くんが目もとを優しくなでながらそう言う。


ドキッ……


なんだこれなんだこれなんだこれ……!!


胸が……


私は胸のあたりで手をギュッと握った。


目が離せない……


「じゃあな」


そんな私の気持ちもつゆ知らず、帰ってしまう榊くんから目を離せなかった。