「少しだけでいいから、放っておいて。」


すがるような目で言う木下に俺は何も言えなくなってしまった。


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「木下さん、大丈夫かな?」


その日の放課後、苑と一緒に帰っていると必然的にあいつの話になった。


「そんなの知らねぇよ。
あいつがどうなろうが俺には関係ない。」


「でも、直人は木下さんの飼い主なんだろ?」


「それとこれとは話が別だ。」


「えぇ〜別じゃないと思うんだけどなぁ」


「お前は何が言いたいんだよ。」


何かを探るようにしてくる苑に少しイラついていた。


「直人が、木下さんの事を心配して、落ち着かないんじゃないかなと思って。」


「はぁ?誰が誰を心配するだって?」


「直人が木下さんを。」


「ありえない。」


なんで俺があいつを心配しなきゃいけないんだよ。


「素直じゃないんだから。」


苑は呆れたような顔でそう言った。