「とりあえず、放課後先輩に告白するから先帰っていいよ。
それと、はい。早百合ちゃんへのチョコ」


私は可愛くラッピングされた箱をバッグから取り出し、早百合ちゃんへ差し出す。


「ありがと。あたしからも」


早百合ちゃんも私にチョコを差し出した。


「うわぁ!ありがと!」


ショートカットでスポーティーな見た目とは裏腹に早百合ちゃんはお菓子作りが得意で、休みの日にはよく作っているらしい。


それに比べて私は全然料理ができないし、先輩や早百合ちゃんへのチョコだって何十回も失敗してやっとできたものであって、早百合ちゃんがすごく羨ましい。


どうしたらあんなにうまく作れるんだろ。


あっ、そうだ。早百合ちゃんに後で教えて貰お。




この時の私は、後であんなことが起こるなんて思っても見なかった。