Crazy and mad

しばらくして、やって来た私のカレシ、優は、走ってきたのか、息を切らしていた。
「お疲れ様。」
私がそう言うと
「おう…」 と言った。

駅からは電車に乗り、そこからはバスに乗り、最後は歩いて帰る。私たちが住むのは市街地から外れたの海沿いの小さな街だ。そこから毎日一時間くらいかけて市街地の学校に行く。私と優は、それぞれ別の高校に通っているが、お互いの学校が近いのでよく一緒に帰るのだ。
駅で待つ時話す内容は決まって学校の出来事。優が楽しそうに話すのを私が聞く事が大体だ。優は顔がいい方なのでよくモテるらしい。本人情報なので定かではないが、顔がいいのは事実なので嘘ではなさそうだ。
今日は席替えがあったらしく、新しい席の文句を言っている。一番前の教卓の前なってしまったらしい。
優は明るい。私とは正反対なのだ。だから嫌な事を話す時も全然嫌そうな顔をしない。私が言ってしまえば愚痴になるような事も優が言うとそうは聞こえないのだ。だからモテるのだろうと思う。
優は時々、突然私の方をじっと見つめる時がある。何だか少し不安げな顔で私の目を見ている。そんな時は必ずキスをする。愛情を確かめたいのか何なのか、私からするのを待っている。

(待たれるのは得意じゃないんだけどな…)
そんな事を考えながらも私はキスをする。
きっとそこに愛は…

二人の静寂に鐘の音が鳴り響いた。
近くの踏切を電車が通過する音、その音が聞こえたら、間もなく電車が来る。

「…電車、来るね…。」
優がつぶやくように言う。
「…そうだね。」
私は言った。