「ねぇねぇ、涼香ってさ…」
彼女の突然の声にはっとした。
「ん?」
「好きな人居ないの?」
その言葉に何故かホッとした。一瞬、心の中で考えていた事が見透かされてしまったような気がしたからだ。
だが、すぐにその言葉の意味を理解し直して、今度は違う焦りが出てきた。
一瞬よぎった、あの人の顔をはらい、涼しい顔で言った。
「私、カレシいるよ。」
私はその言葉を口にしたすぐ後に変な違和感を覚えた。その理由は、きっと私が一番解っている。
「えぇっ!?まじかよ…、仲間だと思ってたのに…。」
彼女のその冗談混じりのその言葉に、私は小さく笑って返した。

「カレシ…、私の好きな人…。」
私は小さくつぶやいた。