「はぁ...死ぬかと思った...」



と、胸をおさえながら呼吸を整えている。



「ご、ごめんね?えっと...、付き合ってないよ。あれは、結城くんの優しさだもん」



球技大会の時、大勢の中ボールが当たった私の手をひいて保健室へと向かった。



どうやらそれが原因で噂になったらしい。



"とうとうあの結城も橘に惚れた"と...。



誤解が解けたのか「そっか。頑張って」と言って去って行く。



はぁ、これで一体何回目だろう。



正直、私は結城くんと付き合ってるという噂が流れているのが夢のようで嬉しい。



でも、目立つのを嫌う結城くんはと言うと迷惑もいいところだ。



この状態ではい!付き合ってます、なんて言ったら恨まれるよ...。