できるだけ、その感情を出さないように...
ニコッと最大の笑顔を見せる。
すると、名前を知っていることにびっくりしたのか、一瞬驚いた表情を見せた。
でも、すぐに元のポーカーフェイスに戻る。
「良かった」
私の笑顔を完全にスルーすると、再び立ち上がり私の手を優しく引っ張った。
「わっ...?!」
繋がった手により身体が自然と立ち上がる。
「はい、どーぞ。じゃあ、俺はこれで…」
そしてぶつかった時に落ちたスマホを私に渡すと、私が言葉を発する前に歩いていってしまった。
1人...その場を動けず立ち尽くす。
「...ありがとう、ございます」
そう呟いた声は、多分彼には聞こえてない。
すごく胸がドキドキする。
なにこれ?
こんな気持ち、初めて――…。

