身動き出来ず、ただギュッと目を閉じていると...



「ばか」



とため息混じりの声が聞こえた。



同時にデコピンをされ、おでこに軽い痛みを感じる。



「...った!」



結城くんに掴まれていた両手が解放され、自由になった。



「なに、目瞑ってるの。嫌なら、もっと抵抗しなよ」



呆れたような表情を見せ、そう呟く結城くん。



確かに、突然の事で少し驚いたけど、不思議と嫌とかそういう感情はなくて……



「嫌じゃないもん。していいもん」



「怖がってたくせに」



「怖がってないもん。ていうか、何も無いならそう言ってくれればよかったのに…。てっきり付き合ってたのかと思っ…「付き合ってた…ねぇ」



しても良かったのになんて思ってしまう自分が恥ずかしくて、何気なく言った一言。



その言葉に、結城くんは薄らと笑みを浮かべ、私の言葉を遮った。