言われた通りに、玲くんのお腹の部分のワイシャツをギュッと掴む。
その瞬間、いい香りが鼻をついた。
「なんで、迷いなくそんなにくっつくかな…」
「……?」
気のせい、かな?
心なしか耳が赤くなっている玲くんが心配になって、覗きこむように見ようとする。
……が、玲くんにそれを気づかれ顔をそむけられてしまった。
「...いや、部活の後だからそんなにくっつかれると、なんか嫌だ」
ほ?匂いを気にしてらっしゃるのか?
「えっ!しっかり掴まってないとって玲くんが言ったもん!それに匂いが気になるなら大丈夫だよ!めっちゃいい匂いだから!むしろ、私の方が臭くない?」
うんうん。
最近の若者は、そういうのにうるさいからね。
逆に私が心配になってくるよ。
気になって自分の匂いを嗅ごうとするが、自分の匂いなんて分からない。

