「おはよー、結城くんっ!なに見てるのー?」



「え?」



結城くんの目の前の椅子に座ると、長い前髪でよく分からないけど多分声からして驚いている。



まぁ、いつもの事だけども……



「なんか見えるの?」



気になって窓を覗くけど、何も見えない。



「雲……」



「え?」



「………雲見てた」



小さな声で呟く結城くんに、ズキューンと心を打ち抜かれる。



か、可愛すぎる……。


聞きました?雲だって雲。



あのふわふわの雲ですよ?



窓からチラッと結城くんに視線を移す。



いつもは、話しかけても「うん」しか言わないのに、今日は返してくれた。



またもきっと恐ろしい顔で喜びに浸っていると、後ろから肩を叩かれた。



「はい?」



首をかしげて振り返ると、数人の女の子たちがいる。



この席なのかな?と思い立とうとすると、真ん中にいた愛菜ちゃんがニコッと笑っていった。



「希望ちゃんってさ、誰と話してるの?」