大好きな人の声、大好きな人の匂い。
顔をあげなくてもわかる。
「ふぇ......?ゆ、ゆゆゆ結城くん!?」
「どこ行ってたの?心配したんだよ」
ビックリする私に構わず、抱きしめる腕を強める結城くんに、心臓がさらにドキドキいう。
「ど、どどどこって、ト...」
トイレに行ってくるって言ったよ?という前に、結城くんによって遮られた。
「もう勝手にいなくならないでね。...で、この子になにかようですか?」
そう言いながら、抱きしめる腕を緩めて、さり気なく私を自分の後ろに隠した結城くん。
だけど...そのかっこいい行動に、残念ながら今ひとつ状況をつかめない私。
でもこれだけは分かる...
お...怒ってらっしゃる。
どうやら結城くんは、ご立腹のご様子のようです。
今は背中しか見えないけど、声が怖い。

