「奈々ちゃん出来たー?」



「ちょっと待って。あと少しだから......よし、完璧」



「ほら、どう?」と自慢げに鏡を渡してくる奈々ちゃんから鏡を受け取る。



「え、すごっ!目でかいよ奈々ちゃん!詐欺だよこれ!」



鏡に写ってるのはもちろん私のはずなのに、普段メイクをしてない私の姿はどこにも無い。



髪の毛も巻いてもらってフワフワだし、底辺だった女子力が少しだけ上がった気分。



「詐欺って...自分で言ったら終わりよ...。でもまぁ、少しやっただけなのに想像以上ねぇ...。ってかほら、結城待ってるんでしょ?早く行かなきゃ」



「うん!ありがとう奈々ちゃん!私、行くね!」



「ほーい、楽しんでこい!」



はよいけ、という感じの素振りをする奈々ちゃんに手を振って、急いで結城くんの元へ向かう。



駅は正門側にあるから、裏門から帰る人はほとんどいない。



人が一人もいない裏門への道を走っていると、大好きな人が門に寄りかかってるのが見えた。