ねえ、イッショニ、イッショニ…

「一緒にトイレ行こう!」
「一緒に行動しよう!」
一緒に一緒にって。漫画かっつーの。
なんでもかんでも一緒に行動するから仲がいいなんて限らない。むしろ別の方が仲良かったりする。
そういう考えは駄目なのかな…はぁ。だから友達ができないんだよね。きっと。

「ーーーーー」
はぁ。ため息ばっかり漏れちゃう。
「あのーーーーー」
「はいっ?」
全く、返事だけはいいんだから。そういうのも無理はない。だあって、事実だもん。
「職員室、教えてくださいませんか?」
「いいですよ、こちらです。」
ざわざわとしている廊下を二人で無言で歩く。
「聞いてもよろしい?」
「何がですか?」
「貴方が何故、ため息をついているのか…。」
ギクリとする。見ていないようで彼女は見ていた。怖。
怖。じゃなくて…早く言わなきゃ…
「とっ…友達って…何で一緒に行動しなくちゃいけないのかなぁって!なんでもかんでも一緒に行動するから仲がいいなんてそんなきまりはないし…。こういう風に思ってしまうから…友達ができないんだって…そう思ってっ…それで…。」
どうしてだろう。
何故、初対面の彼女にこんなに打ち明けることができるんだろう。
自分でも驚いた。スルッと体から何かが抜けてスッキリした。

「辛かったんですね。私と同じ。」
空に羽ばたくことのできぬ雀を見るかのように優しく穏やかな目で私を見つめる。
涙腺が…と思ったところで、職員室。