三度目になると、私が起きていても「今年もか……」と諦めたように笑って話に付き合ってくれた。



「そっか……その子達からは手紙も届いてないみたいだしなぁ」


「手紙を出したらサンタさん会いに行ってくれる?」



 彼は腕を組んで難しい顔をした後、すごく悲しい笑顔で話す。



「サンタを信じてない子には俺は見えないよ」


「そ、そんなことないもん! サンタさんのことナナは見えるよ!」


「いつまでも、見えるといいね」



 なんだか寂しそうな彼を見ていたら言い知れぬ不安に襲われ、その年のクリスマスも私は盛大に泣いた。


 また私に笑顔が戻るまでソリに乗せてくれ、夜空を走り「よく泣く子だね」と笑って彼は帰って行った。


 この年に、初めて彼の姿を見ることが出来る子と出来ない子がいることを知ったが、幼い私は彼の話になんの疑問も抱かず聞き流していた。