銀の笛が鳴ったのってサンタさんのおかげだったのか――



「プレゼント貰ったのに、お礼を言い忘れちゃった」



 飛んでいくソリを見送っているとフィンは何も言わず自分の家に戻っていく。


 私は慌てて後を追ってフィンの顔を覗きこむと、唇を尖らせていた。


 どうしたのだろう? 会えた嬉しさに忘れていたが、そんな顔をしたいのは私の方だ。



「フィン! なんで来てくれなかったの?手紙も返事くれないし……」


「俺が行かなくても別のプレゼント届いたんだろ?ならいいじゃん」


「よくないよ! だって私が欲しかったのは……」



 ここまでフィンを追ってきたけど、やっぱり迷惑だったのかと不安になってくる。


 プレゼントと告白の返事をもらうのだと、勢いまかせにここまで来たが返事がNOだった場合を想定していない。


 断られても家まで送ってもらわないと帰れなし、家に着くまで泣かない自信も最初からない。


 すべてが、引き戻せない状況にさっそく壊れた涙腺が悲鳴をあげだした。



「ごめん……どうせ届けても意味がないと思ったんだ」


「なんでよ! 私すごく楽しみにしてたし、意味は……フィンには無くても私には大切な意味があったんだよ」



 たとえ、届かなくても私の気持ちがフィンに伝わってくれればよかった。


 だから私なりに勇気を振り絞ってお願いしたのに。