「じいさん早く笛吹いて呼び戻してよ!」


「そう焦らんでも……おっと……」



 耳に聞き覚えのある声がして立ち上がる。白く舞っていた雪が晴れると、真っ赤な服を着た二人のサンタがいた。



「ナナ! どうしてここに……」



 駆け寄ってくるフィンの姿に言葉がでなくて、涙が溢れてフィンに抱きついた。


 確かにフィンがいることを確かめて、もう逃げられないようにしっかりと抱きついていると、あの温かい手で頭を撫でられる。



「今年もよく泣くね……泣き虫」


「フィンが悪いんじゃない!いつまでもプレゼント届けにこないから、取りに来たんだよ」



 文句を言ってフィンの顔を見ると嬉しそうに笑っていた。もう一度ギュッとフィンの胸に顔をうずめると笑い声が聞こえる。



「HO,HO,HO!こりゃ、驚いた。サンタの国までプレゼントを取りに来る子がいるとは……さっ、ブリクセンも戻ったようだし、邪魔者は消えるかな」


「ありがとうじいさん」


「えっ、本物のサンタさん?」


「クリスマスの奇跡は届いたようだ。それじゃ、メリークリスマス!!」



 私に向かってウィンクするとブリクセンの引くソリに乗って行ってしまった。