「トンネルになってたんだ……よかった。それじゃ、ここはサンタの国ってことだよね」
ソリから恐る恐る下を覗いて言葉を失う。いたるところにツリーが飾られ、煙突のある可愛らしい家が立ち並んでいる。
その中心にはひときわ大きなツリーがあり、そこから透明な膜が町を覆っていて大きなスノードームのようだ。
「ここにフィンがいる。ブリクセン急いで!」
ブリクセンは前足を上げてスピードを加速させ、スノードームの中に入ると雪の勢いが弱くなり視界も良くなった。
でも、どこがフィンの家なのか分からない。他のサンタが沢山いるだろうと思っていたのに、一つのソリも見つけられない。
よく分からないままブリクセンは中心にある大きなツリーに走っていくが、途中でぴたりと足を止める。
「どうしたの? うっ、うわっ!!」
急に方向転換して猛スピードで走り出す。
――急にどうしちゃったんだろう
振り落とされないようにしっかりとソリにつかまって止まるのを待つと、少しの衝撃のあと急に目の前が真っ白になった。