「ない! どうして45だけ並んでないのよ!」



 ソリから立ち上がり、目を凝らして辺りの星を見るが45だけが見つからない。


 絶望感に俯くと、控えめに光る星を見つけブリクセンに近づいてもらう。


 古い星なのか光も番地の文字も薄いが、確かに13-45と書かれている。



「見つけた! けど……どうやってここを通るの?」



 番地の書かれた星に扉はない。どこをどう見てもただの星。
 困っている私にブリクセンが鼻をすり寄せ首を振る。


 何かと首を見ると、くたびれたマフラーの下にベルが隠れていた。



「ベル? これを鳴らすの?」



 首を振るブリクセンを見てとにかく首にかかっているベルを掴んで鳴らすと、目の前の星が輝きを無くし真っ黒に変わる。



「なにこれ!?星が真っ黒に……死んじゃったの?」



 自分がとんでもないことをしてしまった気がしてへたりこむとブリクセンが真っ黒になった星に向かって突進した。



「ぶ、ぶつかる!!」



 目をギュッとつぶって衝撃に備えるようにソリのふちを掴む。


 冷たいものが頬にあたりゆっくりと目を開けると一面、銀世界に変わっていた。


 後ろを振り返ると、ぶつかると思っていた黒い星から夜空が見えている。