プレゼントの配達を終え、一人で家に戻る。
暖炉に火を入れて明かりも付けずに寝転んだ。
ポケットに入っていたリストを取り出し、一番最後にチェックの入っていない場所を見てクシャリと握り潰す。
「こんなもん、届けられるかよ」
仕事が完了したことを告げに、じいさんのところにリストを持って行かなければならない。
――なに言われるだろう。嫌だな。
深い深いため息をついて起き上がると、家のドアがノックと同時に開く。
「おーい、フィン帰ってるのか? 今日はずいぶんと早く戻ったじゃないか」
「返事する前に開けるなよじいさん!」
真っ赤な服にでっぷりとしたお腹。立派な白い髭を生やしたサンタ・クロースが冷たい風と雪をつけてドアから入ってきた。
会いたくないと思っていると狙ったようにやって来る。俺は唇を尖らせて体を起こして座る。
「ブリクセンと一緒でも毎年、最後に帰ってくるお前がずいぶんと早いじゃないか。配り忘れてるんじゃないか?」
床に転がる握り潰したリストを俺が隠す前に、体に似合わず素早い動きで奪われる。
取り返そうと立ち上がって手を伸ばすが、大きな腹に押し返されてしまった。