「だからだよ。もう子供じゃないからお別れを言うんだよ」
「意味が分からないよ……お別れなんかしたくないもん」
子供じゃないからお別れ?まだ私は14歳で成人はしてない。フィンのサンタの国では14歳が成人なんだろうか?
どちらにしろ、このまま私は成長し続ければ嫌でも大人になる。ずっと一緒にはいられないってことだ。
「ナナは俺のことを疑問に思ってるだろう? 手紙にはあえて質問するようなことも書かかず、俺を信じることに必死だったんじゃない?」
「そんなこと……」
「前に俺に疑いを持った時に姿が霞んで見えなくなったから怖くて聞かないだけだろう?」
問い詰めるように真っ直ぐに見つめて話すフィンの姿が私の心が揺れるたびに霞む。
知りたいけど、理解できないものを聞けば疑ってしまう。
それでフィンが消えてしまうなら――
「知らなくていいから!」
「俺がまだ見える?」
頷くとフィンは私の頬に手を伸ばし、涙を拭って笑う。
「無理しなくていい。俺が見えなくなることは自然なことなんだよ。知識を身につけ疑問をもつってことは大人になっていくのに必要なことだよ。俺の為に目を瞑ってしまうのは良くない」
「フィンだけが見えればいいもん! 私、フィンのことが好き!」
勢いに任せ思いのたけをぶつけると、フィンは何とも言い難い悲しい顔をしてそっと私から手をはなした。
何も言わず泣いたままの私を置いていくフィンの背中をいつかみたいに捕まえるが、振り向いてくれない。