「温かいな! でも、ブリクセンとお揃いか……んっ? このS ってイニシャル?」


「サンタのSなんだけど……」


「あぁ、そうかサンタ・クロースが名前だと思ってるのか……それ、じいさんの名前なんだよ」



 帽子を取って頭を掻きながらベッドに座りなおし、首に巻いたマフラーをいじり複雑そうな顔をする。


 私は彼の名前がサンタじゃないことに吃驚して目を丸くさせていると、彼が溜息を吐いてから話す。



「サンタ・クロースは1代目のじいさん。世界中を一人でプレゼントを届けるなんて出来ないから、じいさんの血族が総出で配ってるんだよ」


「でも、ずっとサンタさんて呼んで返事してたじゃない」


「クリスマス限定の役職みたいなもんだよ……こんなプレゼントもらえるなら名乗ればよかった」



 酷くショックを受けてるようだったが、私だって今まで彼の名前を知らなかったのはショックだ。



「本当の名前はなんていうの?」


「ノルディン・フィン」



 サンタのサの字もない名前。こんなことならイニシャルなんて入れなければよかったな。


 がっかりする私の頭をフィンが優しく撫でて笑う。