虹色研究部 - ニジケン -

初めて見る表情に驚いた私は、揺れる大きな黒目をジッと見つめた。

すると蘭先輩ははっとした様に、勢い良く顔を逸らす。


「燈は……特別だ。俺はあんな風にはなれねぇな」


そう言った彼は、更に恥ずかしそうに腕で顔を隠した。

本当は私よりも、彼等との付き合いが長い蘭先輩の方が、ずっと寂しかったのかもしれない。


私は意を決して立ち上がり、拳をギュッと握り締めると、すぅーっと大きく深呼吸をした。

少し驚いた様に目を丸くした蘭先輩が私を見上げている。



「先輩達みたいにはなれませんけど……ニジケンの意志は、失いたくない」


私を見上げた蘭先輩は、安心した様にフッと微笑んで立ち上がる。

すると開いた扉の隙間から、ふいに柔らかい風が流れこんだ。


「――いい心がけだねー、乃季」


クックックッと、怪しい笑いを含んだ声が、静かな部室に響いた。