虹色研究部 - ニジケン -

「えっ、そんな、事は……」


「やっぱりな。急にどうした? 露骨に寂しがってんじゃねぇよ」


前のめりになった蘭先輩は、指で机をトントンッと叩く。


「……さっき、國枝先輩に似た人が居たみたいで、もしかしたらここに来てるんじゃないかと思って」


「それでそんなに急いで走って来たのか」


蘭先輩がブッと吹き出す。彼の視線は私の足元に向けられていた。

その先を辿って、自分が上履きのままだった事を思い出す。


「急ぎすぎ」


「……すみません」


恥ずかしくて居た堪れなくなった私は、上履きを隠す様にしゃがみ込んだ。


「しつこい巨大台風が三つも急に居なくなったんだ。無理はねぇけど」


蘭先輩は私の正面にしゃがみ込むと、私の頭をガシッと掴む。


「寂しいのは、お前だけじゃねぇよ」


そう言って私の頭をグリグリと回す蘭先輩は、佗しげに微笑んだ。