虹色研究部 - ニジケン -

カバンを握り締め、無我夢中で走る。

朝練を終えた野球部の団体が、流れに逆走する私を見て驚いていた。

けれど今の私には、一切の景色も目に入らない。

呼吸が苦しくなってきても、私の顔には笑みが滲む。込み上げてくる嬉しさが、今にも爆発してしまいそうだ。

やがて目的の場所にやってくると、空を切る速さで扉を開けた。


「…………あ」


部室には、誰も居ない。

電気が点いていない部屋は、薄暗くて肌寒い。ハァハァと私の呼吸を整える音だけが、やけに響いていた。


途端に言いようのない虚しさと寂しさが押し寄せる。

私は居ても立っても居られなくなり、乾いた笑いを浮かべて部屋の中へと入った。


壁に掛けられた、一枚の写真の額を手に取る。

それは卒業式の日、皆で撮った記念写真だ。


眩しいほどに笑う國枝先輩。無表情でピースサインをする蘭先輩。赤い袴を自慢気に見せる和田先輩。ビシッと直立する滝口先輩。

そして着衣も髪もボロボロに乱れた深町先輩と、それを横目に見る私が写っている。