虹色研究部 - ニジケン -

「どうしたの? おばけでも見た様な顔して」


そう言って振り返るけれど、下駄箱には生徒以外に怪しい人や物もない。


「……い、居た。今、確かに居た」


「い、居たって何が?」


「……怨念かも」


「怨念? こっ、怖い事言わないでよぉ!」


ただならぬ様子にゾッとしてトミーにしがみ付くと、彼女も私の身体をガッチリと引き寄せた。

横を通り過ぎていく生徒達が、抱き合う私達を不審そうに眺めている。


「……い、今、國枝 燈が居た気がする。しかも高校の制服姿で。あれだけ好き放題しといて、まだこの学校に未練でもあるのかな。あの男なら、学校に取り憑くなんて容易いだろうし」


トミーの言葉を聞いたその瞬間、騒がしいぐらいに耳についていた周りの音がピタリと止まり、私は何も聞こえなくなった。


「――トミー! ごめん、先行ってて!」


トミーが制止する声も届かず、私は上履きのまま校舎から飛び出した。