虹色研究部 - ニジケン -

「ポチッとな!」


何のためらいもなくボタンを押した國枝先輩。

するとひみツリーから、カサカサと葉同士がぶつかる音が聞こえてくる。

不気味なその音に、皆が一斉に視線を移した。


「あっ! えっ……!?」


私は驚きの光景に目を疑った。

しかし驚いている暇もなく、校庭は再び悲痛な叫び声に包まれる。


ひみツリーからは、まるで小鳥が巣立って行くかの様に、メモが次々と飛んで行った。


「皆さん! これが正真正銘最後のパフォーマンス、名付けて『旅立ち』です。その名の通り、皆さんの秘密には自由に羽ばたいてもらいました。ですがご安心を。あのメモには、学校名、クラス、フルネーム。全て書いておきましたからー!」


呆然と飛んで行くメモを見ていた卒業生達には、もはや國枝先輩の悪魔の様な囁きすら届いていないらしい。

皆、悪夢を見ているかの如く顔面を蒼白にさせている。


「あぁっ! 三年間、溜めに溜めてきた他人の秘密をぶち撒ける瞬間って……これ以上ない快感だね」


片方の口角をニヤリと上げて笑う國枝先輩は、両手を広げて、大空を舞う大量の白い秘密達を仰いだ。

その後ろ姿は、空を操る悪魔の姿そのものだ。