虹色研究部 - ニジケン -

「この中を潜って来たの? 相変わらず無茶するなー」


目の前に立つのは、困った様に眉を下げて微笑む、國枝先輩だった。


「國枝……先輩」


「そうです。時に卒業生、時に救世主の國枝先輩です」


彼はそう言うと、私の手を優しく引いた。

バランスを崩した私は前のめりになり、トンッと彼の身体にもたれ掛かる。

柔らかい栗色の髪がふわりと舞い、甘いシャンプーの様な香りが鼻を掠めた。


「乃季……」


耳元で囁かれた低い声に、心臓がドキッと高鳴った。

意外と広い彼の胸元を強く握る。


「は、はい……」


ドッドッ、と加速する鼓動が耳の先まで響いて痛い。


「この悲鳴だけで、俺はご飯何杯でも食べられそうだよ……」


――その言葉に、今にも口から飛び出しそうだった心臓は一瞬にして落ち着いた。

恐る恐る顔を上げると、彼は案の定、うっとりと気持ち良さそうに悲鳴に耳を澄ませていた。